3名の人気イラストレーターが、デジモン愛をたっぷりこめたオリジナルイラストを描き下ろしてくださる、『デジモンアドベンチャー』× イラストレーターコラボ企画(企画詳細は[こちら])!
直撃インタビュー第2弾は、美好よしみさん! デジモンとの出会いやイラストへのこだわりを語っていただきました。
「デジモン」が絵を描く原点のひとつ
――「デジモン」との出会いを教えて下さい。
液晶玩具「デジタルモンスター」が最初の出会いです。当時4歳ぐらいだったと思うのですが、操作方法もよくわからず、ひたすらお肉を食べさせて喜んでいました。後から攻略本を買ってもらい、そこに載っていたデジモンのイラストを模写していた思い出があります。その後アニメ『デジモンアドベンチャー』と出会い、オープニング映像と主題歌の「Butter-Fly」のカッコ良さに衝撃を受け、そこから引き込まれていきました。
――当時から絵を描かれていたんですね。
暇つぶしといえば、絵を描くかブロックで遊ぶかの幼少期でした(笑)。お絵かきを覚えた時期に出会った作品は、今でも人生のベスト3に入るぐらい愛着があり、「デジモン」はそのうちの1つです。当時は「デジモン」と他の作品のキャラクターを戦わせる絵も描いたりしていましたね(笑)。幼稚園児のとき、友だちに頼まれて、その子の自由帳にデジモンの絵を描いてあげると、とても喜んでくれていた思い出があります。いま思えば子どもなりにイラストレーターをしていた感じですね(笑)。
あと小学生のとき、テストの余った時間で答案用紙の裏側にいかに密度の高い絵を描けるか挑戦していて、色々なデジモンがバトルしている絵を描き上げたら、採点結果が返ってきた際その絵にも花丸が付いていて、「自分の絵を認めてもらえた」と嬉しかったことをよく覚えています。肝心のテストの点数はぼちぼちだったので、花丸の脇に書かれた「絵をかくのもいいけど、答えを見直しましょう」という先生のコメントも良い思い出です(笑)。
――好きな『デジモンアドベンチャー』のエピソードはありますか?
印象に残っているのは、パタモンが初めてエンジェモンに進化したときです。
パタモンがやっと進化できたと思ったら、天使のような姿になるじゃないですか。まずそこに衝撃をうけ、さらに強敵デビモンを倒して「すごい!」と思ったら、エンジェモンが消えていってしまう…。その一連の流れに、子どもながらに感情が追いついていかず、衝撃的でした。
――一番好きなデジモンは何でしょうか?
当時から「グレイモン」が好きでした。シンプルな造形で、自分が描けるデジモンを好きになる傾向がありますね(笑)。デジモンは複雑な造形をしているキャラクターが多く、その中でも可愛い・カッコいい・シンプルなデジモンたちが好きでした。
――今回のコラボの話が来たときの印象はいかがでしたか?
最初は「本当にいいんですか!?」と思ってしまいました。子どもの頃はマンガやアニメのキャラばかり描いていましたが、今はファッションや音楽に振ったデザインを意識したイラストを描いています。今の自分の作風で「デジモン」の世界観を表現できるのかと不安でしたが、東映アニメーションのご担当者さんから「各キャラのファッションをデザインしてください」というオーダーがあり、これだったら今の私の作風に昇華できると思い挑戦させていただきました。
意識したのは「デジモン」とのリンク
――実際に描くときはどのような考えで、進めていったのでしょうか?
普段は大人の等身を描くことが多く、子どもを描くことがほぼ初めてでしたので、そこがまず挑戦でした。色々と頂いた資料を見ながら描いていましたが、『デジモンアドベンチャー』は子どもの頃の記憶にしっかりと刺さっていたので、意外とスムーズに描くことができました。改めて描くと「テントモンのお腹はこんな造形だったんだ」などの気づきもあり、懐かしくも新鮮な、不思議な気持ちでした。
――ファッションは、どのような考えの起点で決まっていったのでしょうか?
今回は「デジモンとのリンク」をテーマに、「このデジモンをアパレル化するならどんなアイテムか」と考えていきました。8人のメンバーそれぞれがどのような系統の服装が合うか、たくさんのアイテムをピックアップしつつ、キャラごとに方向性の被りが無いようコーデを組んでいきました。なかでも、一番方向性を決めやすかったのはヤマト&ガブモンのペアですね。ガブモンは特徴的な毛皮を着ているのでファッションに落とし込みやすかったです。
――細かすぎて伝わらなそうな、こだわりのポイントがあれば教えて下さい。
やはり「デジモン」とのリンクの仕方です。
例えばガブモンは、それこそ毛皮を着ているので、アパレルにし放題だと感じました(笑)。ヤマトがジャケットに袖を通していないのは、ガブモンの毛皮からのインスパイアです。毛皮柄のファーの手袋を着用するのもありかなとも思ったのですが、最終的に毛皮の模様はダメージジーンズの柄に反映しました。
タケルのナイロンジャケットの色の分割を、パタモンの顔の模様と同じにしてみました。袖をダボッとさせ肩を少し落としているので、イラストには表現できなかったのですが、腕を広げたらいい感じにパタモンの様な曲線を描く想定をしています。
テントモンは背中からイメージした水玉柄のシャツとかオシャレだけど光子郎にはちょっと合わないかな…?とか、光子郎をシャツルックにすると丈と被るなとか…色々悩みました。最終的に、全身の配色をテントモンに合わせ、頭の触覚をイメージしてフードの紐を極太にしたりして、テントモンコーデを組んでみました。
ゴマモンと丈も難しかったですね。丈は元のファッションが完成しているイメージがあったので、少し外していきたいという思いもあり、悩みました。ゴマモンというだけあって、模様が特徴だったので最終的にシグザグ模様のセーターと縦縞シャツの柄×柄コーデにしてみました。
アグモンは全身黄色というシンプルなデザインなので、アパレル化させるのは一番悩みました(笑)。黄色のツナギとか合いそうでしたが、他のメンバーと並んだときの印象が弱かったので、太一の服はオリジナルのテイストを軸に、アグモンの黄色や、先端にボリュームがあるシルエットを取り入れて、「主人公らしいカッコ良さ」を押し出しました。
色、デザイン、シルエットも含め、デジモンたちと子どものファッションをリンクさせているので、ぜひ今日のインタビューで話していない部分も見つけていただきたいです。あと、太一とヒカリ、ヤマトとタケルで、きょうだいペアは同じブランドの靴を履いてたりもします。そういったポイントもじっくり見てもらいたいです。
――個人的には、光子郎のパーカーがほしいです。
今回の「デジモン」に限らないのですが、私がコーデを考えるときは真似できない奇抜なアイテムでオシャレさを出すのではなく、「自分でも買えるようなリアルなアイテムでオシャレに見せる」というのがテーマのひとつなんです。今回も実現可能な範囲でデザインしているつもりなので、どれかアパレルとしてそのまま商品化してくれないかなと、少し思いながら描いていました(笑)。ヒカリのスカーフやテイルモン柄のアームウォーマー、色とシルエットがパルモンのフレアワンピースなど、機会があればグッズになってほしいです。
――最後に描いてみての感想を教えて下さい。
描かせてもらえて本当に良かったです。あの頃の自分から25年経ち、公式に描かせてもらえたのはすごいことだなぁと、1つ夢が叶った感じがあります。幼い頃の自分を思い出しながら、自分も成長したなとすごくエモい体験ができました。ありがとうございます。
じっくり見れば見るほど味わい深いイラストです!みなさんも、デジモンたちとファッションのリンクをぜひ探してみてください。
美好さん、貴重なお話ありがとうございました!