現在、絶賛予約受付中のフィギュア「Precious G.E.M.シリーズ デジモンワールド ムゲンドラモン」!
ド迫力の造形でゲーム中のイメージそのままに立体化された本フィギュアについて、そのこだわりや制作秘話をメガハウスのご担当者に直撃インタビューしてきました!
Kさん:株式会社メガハウス所属
デジモンパートナーズスタッフ:デジモン好き30代
DPスタッフ:まずは、「Precious G.E.M.シリーズ デジモンワールド ムゲンドラモン」の企画立ち上げ経緯を教えてください。
K:弊社で「G.E.Mシリーズ」をデジモンで立ち上げたときから、ずっと「ムゲンドラモン」を作りたいと思い続けていたんです。途中から私も企画に携わるようになり、先輩と二人で「絶対やろう!」と言い続け、タイミングを見計らっていました。その念願かなった理由としましては、ファンの皆さんに支えられて2024年で「G.E.M.シリーズ」のデジモンが10周年を迎えられることになり、その10周年の先駆けとして満を持して「ムゲンドラモン」を立体化する企画を進められることになりました。
DP:デジモンの「G,E,Mシリーズ」は、「デジモンアドベンチャー 八神太一&アグモン / 石田ヤマト&ガブモン」から始まっていました。その頃からの念願だったんですね。
K:ずっと温めて温めてここまで来ました。ムゲンドラモンを立体化するならビッグサイズでやりたかったのですが、当時はまだ大きいサイズをお客さんに受け入れられるかわかりませんでした。なのでまずは小さいサイズから始め、シリーズ自体がファンの皆さんに受け入れられたのを確認し、大きいサイズとしてグレイモンやウォーグレイモンなどの主人公たちの商品化を企画し、大きいサイズも慣れ親しんでもらったところで、言うなれば敵側のデジモンである「ムゲンドラモン」に挑戦することしたんです。
DP:今回、なぜ「デジモンワールド」からの出展になったのでしょうか?
K:やはり、私を含めてファンの人たちが初めて「ムゲンドラモン」に出会ったのが、PS「デジモンワールド」のラスボスとしてだと思うんです。あのドキドキとワクワク、そして絶望感を感じた「ムゲンドラモン」が思い出として大きく、私自身が「デジモン」に初めて触れたのが親戚の家でプレイした「デジモンワールド」でした。自分の中でも、ファンの皆さんの中でも思い出として「ムゲンドラモン」は、ゲームの存在が大きいと考えて「デジモンワールド」から立体化しようと決めました。
DP:デジモンに始めて触れたのが「デジモンワールド」だったんですね。
K:そうなんです! 当時「デジモン」は知っていたのですが、「プレイステーション」も「デジモンペンデュラム」なども買ってもらえず、親戚の家で見た「デジモンワールド」が始めてでした。それも、従兄弟がプレイしているのを横から眺めているだけだったのですが(笑)。そこから、アニメ「デジモンアドベンチャー」を見るようになりました。まさか、子どもの頃に触れたコンテンツが、企画担当として仕事で活かせるようになるとは思いませんでした。
DP:実際に企画が動き始めた時に、注意していたところはどのような点でしょうか?
K:ゲーム版とアニメ版のムゲンドラモンの造形の違いです。なので実際にどこが違うのか、洗い出す作業から始めました。20年以上前のゲームなので当時の資料なども残っていないとのことで、実際のゲームの画面を見ながら確認していきました。ですが、ゲーム中でムゲンドラモンが見ることができるのが、最終戦闘時のぐるっとカメラがまわる登場時の演出シーンと、コマンドバトル中の正面からの絵図しかないんですよね。なので、登場時の演出シーンを何回も何回も繰り返し見て、全方位からチェックし、アニメの設定資料と徹底的に照らし合わせ、違う箇所の洗い出しを行ったんです。
DP:大変な作業ですね…! それでは、実際にプレイしてラスボスまでたどり着いたのでしょうか?
K:プレイしました! プレイ自体も楽しくて、ちょっと油断するとたくさん寄り道してしまうので、たどり着くのも大変でしたね(笑)。ですが、このチェック作業がないと「デジモンワールド」出展の意味がなくなるので、ゲームのディティールを大事にするために実施しました。また、今回のフィギュアを作るためにPVも作ったのですが、その中のゲーム映像は実際に僕がプレイして撮影したプレイ映像です(笑)!
DP:ゲームの映像をチェックして、具体的にどのような点が違うと判明したのでしょうか?
K:全身にわたって、いろいろな発見がありました。特に印象的なのは「目」で、奥の方で丸く光っているのが、ゲームでの特徴的なところです。足の形状も、アニメでは丸みがありより生物的なのですが、ゲームでは角ばっていてシャープさが際立っていました。特徴を洗い出しながらも、みんなの思い出の中にあるポリゴンで組み上げられた荒いイメージ像と、現在ファンの方々が思い描く「ムゲンドラモン」のイメージ像に乖離があるのではないかと、少し怖い思いはありました。その「正解」が無いなかで作業を進めるのは、とても気を使いました。
DP:その特徴的な部分を、実際どのように造形に落とし込んで行ったのでしょうか?
K:本来このような作り方はしないのですが…最初に、アニメ版をもとに原型のデータを作りました。そのアニメ版のデータをもとに、ゲームと違う箇所を照らし合わせ赤ペンを入れて、各部調整を入れて逐一チェックをしていきました。なので、原型が完成するまでにとても時間をかけています。24年1月の発売を予定していますが、21年の末から企画がスタートしており、通常よりもだいぶ早い時期から始まっています。これでも蓋を開けたら、だいぶ切羽詰まった進行スケジュールになってしまいました。
DP:制作に当たり、協力のデジモンデザイナーの渡辺けんじさん、バンダイナムコエンターテインメントの羽生和正さんと、どのようなやりとりがあったのでしょうか?
K:まず、私から「こうしたい」「こうアニメとゲームが違う」とまとめた資料を提出し、羽生さんにチェックいただきました。合わせて、調べた中でデザインの詳細が不明なところは渡辺けんじさんにお伺いし、回答をいただきながらまとめていきました。
DP:そのやり取りの中で、造形反映されたのは具体的にどのような箇所でしょうか?
K:ひとつが「右肩」のデザインです。アニメではとくに特徴がないのですが、ゲーム版では「ドクロ」のマークがあるんです。デジモン図鑑のイラストは左側からしか描かれておらず、実際にゲームをプレイして発見していました。まずポリゴンを見ながら私たちで絵柄を描き起こし、それを渡辺けんじさんに清書していただき落とし込みました。他にも膝のドクロの形状も違いがあり、ゲーム版に合わせてドクロのサイズを少し大きく無骨に仕上げした。他にもけんじさんからは、顔をより角ばらせ、腕や足のパーツを肥大させて迫力をだそうと、コメントをいただきました。
DP:バンダイナムコエンターテインメントさん側からは、どのようなフィードバックがあったのでしょうか?
K:まずは「ゲームファンが喜ぶものを作っていきましょう」とのお言葉で、当たり前のことではありますが、穴があくまでゲームをチェックする、という点に気合が入りました。また、リクエストとしては「ムゲンキャノンを後ろに向ける」ことがありました。実は当初、立体としての勢い、ハッタリが効くため、見栄えを重視して砲台を前に向けていたんです。ですが、「デジモンワールドのムゲンドラモンの最大の特徴は“後ろ向きの砲身”だ」と言われ、ハッとしました。「立体化する」ということに頭が一杯になっていたので、改めて「デジモンワールド」のムゲンドラモンのキャラクター性を見つめ直し、前後に可動するように変更しました! 立体としての見栄えも大事ですが、キャラクター性も大事ですので、両立させるためには動かすしかないと、砲身が前にも後ろにも自由に向けるようにしたんです。ですがこの可動にも一苦労ありました。今のままの構造では大きいムゲンキャノンを支えることができないとのことで、どういう構造だったら可動できるか、ムゲンキャノン自体を軽量化できないかなどを工場や設計チームなどと相談して今の形になっていきました。
DP:皆さんの思いが詰まってのムゲンキャノンなんですね…!
K:このムゲンキャノン自体も、設計の時点ではもう少し小さかったんです。ですが、色々な方と打ち合わせを重ねていくうちに、ちょっとずつ大きくなっていきました。
DP:それこそ、本当に皆さんの思いが詰まって大きくなったんですね。
K:そうなんです!(笑)。今までポーズが固定されたフィギュアばかり作成していましたので、「G.E.Mシリーズ」としても、初の武器可動となりました。
DP:ポージングはどのように決まっていったのでしょうか?
K:ゲームをプレイしていたときに感じた絶望感、ムゲンドラモンから発せられる威圧感や雄叫びを上げている勢いを表現したいと、前傾姿勢にしました。さらに、どのデジモンでもそうですが、どこかしらに愛嬌があると思うんです。なので、カッコよさの中に生き物としての可愛さがでるように、撫でたくなるような顎下や、動きのある尻尾を取り入れました。
DP:たしかに前傾姿勢だと、その動きで動物らしさが出てきますね。このポージングでの難しさはありましたでしょうか?
K:そうですね。上を向いて雄叫びを上げているポーズなど複数案ありましたが、多角度から見たときの満足感を考え、前傾姿勢に収まりました。それで、重心が前に偏っていったので、台座を用意しました。その台座もできるだけ違和感のないように、「デジタルワールド」のポリゴン感、ゲーム内でムゲンドラモンが登場したシーンでワイヤーフレームが組み上がっていくようなイメージをした形にしました。
DP:よく見ると、傷の表現が細かく入っていますね。
K:けんじさんとも相談しつつ、歴戦のデジモンに見えるよう積極的にいれました。原型師さんとも、このムゲンドラモンがどう戦ってきたらどこにどう傷がはいるのか、妄想を語り合いながら表現を加えていきました。
DP:それが、自分がフィギュアを通してムゲンドラモンと対峙した没入感に繋がっていきますね。最後に、「デジモンG.E.Mシリーズ」10周年ということで、今後の野望があれば教えてください。
K:引き続き、ファンの方々に満足いただけるフィギュアを送り出していきたいです。ありがたいことに、ファンの皆様から立体化の希望を多く頂いています。立体化の要望をたくさん頂いているデジモンがいますし、僕自身大好きな未立体化のロイヤルナイツをいつかスポットライトを当てていきたいと、野望をいだいています。多くのファンに支えられてここまで来ることができましたので、引き続き応援をよろしくお願いします。まずは、ムゲンドラモンを手にとっていただけると幸いです!
DP:ありがとうございました!