現在予約受付中の「SuperCompleteSelectionAnimationディーアーク」と、2月18日魂ウェブ商店にて予約受付開始の「S.H.Figuarts デュークモン -聖騎士再誕-」。どちらも開発担当者はTVアニメ『デジモンテイマーズ』世代で、そのこだわりがギュッと詰まった商品とのこと! 今回は、その開発担当者お二人に熱い思いを語っていただきました!
N さん:株式会社バンダイ ネットワークトイ企画部
A さん:株式会社BANDAI SPIRITSコレクターズ事業部・企画第1チーム所属
デジモンパートナーズスタッフ:デジモン好き30代
「デジモン」世代の開発陣
DP:まずは自己紹介をお願いします。
N:私は株式会社バンダイのNです。現在の部署では「バイタルブレス キャラクターズ」のプロデューサーとして、『仮面ライダー』や『ウルトラマン』の「バイタルブレス」シリーズ商品の立ち上げを行ってきました。今回は「SCSAディーアーク」のプロデューサーとして、企画と開発を担当しています。
A:BANDAI SPIRITSのAです。2017年入社で、今年で入社5年目になります。今は「聖闘士聖衣神話(セイントクロスマイス)」と「S.H.Figuarts」のシリーズも並行して担当しています。その中の1つとして「デジモン」シリーズも担当させていただきました。
DP:ありがとうございます。「デジモン」担当同士、お互いの面識はあったのでしょうか?
N:「デジモン定例会」という形で、週に1回、各事業部が集まる打ち合わせを行い、事業部や他社さんがどういう動きをしているのか把握する会議があります。その場でなんとなく存在を認識していました。
A:Nさんの上長と僕が知り合いだったこともあり、「SCSAディーアーク」発売のタイミングで、一緒に何かやりたいという話をしていました。部署関係なく一緒に『デジモンテイマーズ』を盛り上げていきたいという想いがあり、今回の対談はとてもありがたい機会です。
DP:Aさんは入社されて5年間ずっと、コレクターズ事業部なのでしょうか?
A:そうですね、入社時からずっとコレクターズ事業部です。最初はロボット系など担当していましたが、一昨年から可動フィギュアチームに異動になりました。僕が入社した年に「超進化魂」シリーズがスタートし、僕は隣のチームでそれを見ていました。昔の「超進化シリーズ」を元に、変形ができてキャラのプロポーションを確保しているブランドだったので、すごくカッコいいなと思っていましたが、その中で「デジモン」ユーザーには、可動フィギュアが求められている流れも感じていました。それが「S.H.Figuarts」が再始動するきっかけに繋がっています。
DP:Nさんは入社7年目ということで、これまでの業務内容はどのようなものだったのでしょうか?
N:入社当時は、設計チームで『仮面ライダー』の変身ベルトなどを設計していました。その後、『仮面ライダー』チームの企画開発の仕事を2年間行い、昨年の4月から現在のネットワークトイ企画部に異動となりました。
DP:そこから「バイタルブレス キャラクターズ」と今回の「SCSAディーアーク」、2つをメインで担当しているとのことで、すごく大変なイメージがあります。
N:基本的には「バイタルブレス デジタルモンスター」という、元になるものはあったのですが、『ウルトラマン』と『仮面ライダー』という別のキャラの内容ということで、版権元様との調整やラインナップの考案、新規ドット絵の作成など、多方面のハンドリングを行っています。また、プログラムが『デジタルモンスター』と全く一緒ではないので、一部調整を加えたり。また、立ち上げ時は商品ラインナップが多いので、とてもバタバタしていました。
DP:お二人とも「デジモン」世代という事で、「デジモン」に関する思い出を教えてください。
N:私は小学生の時に『デジモンアドベンチャー』から『デジモンフロンティア』まで全部観て、液晶玩具でも遊んでいました。『デジモンセイバーズ』や『デジモンクロスウォーズ』の放送も、リアルタイムで観ていました。ちょうど入社1年目のタイミングで「デジフェス」が開催されたのですが、プライベートで参加する程「デジモン」が好きでした。アニメ作品は全部好きなんですが、一番は『フロンティア』ですね。『仮面ライダー』などの特撮好きなのも相まってかもしれないですが、「人がデジモンに変身する」というのが魅力的でした。「ハイブリッド体」という要素もすごく新鮮だったのと、自分自身が変身して戦うという点に憧れを抱いていました。
A:「ディースキャナ」なども買われていたのですか?
N:買いました! 僕は「デジヴァイス」も「D-3」も「ディーアーク」も「ディースキャナ」も持っている子どもでしたね。商品のバーコードとかをスキャンしていた記憶があります(笑)!
A:僕は『アドベンチャー』が小学校に入る直前だったので、ちゃんと覚えてないんですが…。『02』『テイマーズ』『フロンティア』まで観ていました。ですが、劇場版『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』が一番記憶に残っています。大人になっても、たまに見返すことがあったぐらい。「面白かった」という強い記憶が、自分の中にあるんだなと思います。それで見返す度に「こんなあっという間だったっけ?」って思う、という(笑)。
熱い想いがこもった商品企画
DP:今回「SCSA」という形にしようと思ったのは、どのような想いからだったのでしょうか?
N:『テイマーズ』15周年の時に「ディーアーク」を買ってくださったお客様が、また同じ液晶玩具を買う形にならないようにしよう、という点が大きかったです。また「CSA」というシリーズが、SNSなどで望まれている声が大きいことがありました。今回はフルカラー液晶だったり、NFCタグが入っていたり、ブランドとしても「CSA」のシリーズよりもバージョンアップさせて、より良い形で商品化できたらと考えました。
DP:「より良い形に」というのがポイントなんですね。
N:実は「CSA デジヴァイス」を、自分で買って持っているんです。「CSA」シリーズは色々な台詞やBGMが再生できて、「作品の思い出に浸る」側面が強いアイテムかなと思っています。その面として、とても良い商品だなとは思っていたんですが、「デジモン」といえば「液晶」というイメージがどうしてもありました。なので、この液晶で、よりアニメの映像に近い演出が再現できるアイテムが欲しいと、自分自身すごく思ってしまったんです。
DP:なるほど!
N:なので、「デジヴァイス」や「D-3」とは違った遊び方、より「なりきり」度が高い方向性にしたんです。実際にカードスラッシュしたら何のカードかをデヴァイス側が理解する。また「カードスラッシュ!」など、『テイマーズ』を観ていて何度も耳にする台詞をきちんと取り入れる。作品とリンクした「なりきり」要素と、これまでの「CSA」にもあった「メモリアル」要素を掛け合わせた商品として展開しようというのが、今回の「SCSAディーアーク」の一番の企画のミソだと思っています。
DP:今回、デュークモンを「S.H.Figuarts」シリーズで商品化しようと決まった経緯を教えてください。
A:もともと「デジモン」で「S.H.Figuarts」を再始動しようと、オメガモン・アルファモン・インペリアルドラモンを展開させていただきましたが、基本的にこのキャラクターたちは、微妙な差異はありますが、ベースが過去商品なんです。ですがユーザーの皆さんにこれから先も長く「デジモン」を届けていくことを考えた時に、過去の焼き直しだけではダメだということを事業部全体でも感じていたんです。そんな中で、以前の商品と比べて改善しがいのある、完全新規造形で作る、ユーザーが欲しいと思えるような強いキャラクターは「デュークモン」だと判断しました。
DP:今回の商品開発にあたり、『テイマーズ』を見直されたのでしょうか?
A:そうですね。登場シーンは何度も見返しました。やはり今回の推しとして、造形はもちろんのこと、既存商品よりどこまで可動をアニメに近付けるか、かっこいいポーズを再現できるかというところは意識していたので。
N:『テイマーズ』の中でデュークモンが一番好きなので、今回の造形を見てめちゃくちゃカッコいいなと思いました!
A:ありがとうございます(笑)
N:写真で見せていただいた時、「これはマジで欲しい」と思いました。
DP:Nさんもお墨付きの造形ですが…過去に「デュークモン」が出ていたのは、「D-Arts」ですよね。「D-Arts」とは、どのように違うのでしょうか?
A:その質問のために、試作を用意しておきました(笑)。
これが2012年発売の「D-Arts」です。正直かなり良いプロポーションですが、当時から可動面についてはご指摘をいただいていました。肩もある程度上がるけど、デュークモン特有の聖槍を突き出すポーズになると肩のアーマーがどうしても引っかかってしまうんです。また、股関節と太ももが干渉して可動域が狭いという課題もありました。元々のキャラクターデザイン由来なので仕方ないところもありますが、10年経った今だからこそ、より良い「デュークモン」の可動フィギュアを皆様に届けられると思ったんです。
そしてこれが、「S.H.Figuarts」版のデュークモンです。肩の構造は引き出し関節になっていて、これにより可動域が大幅に改善されました。股関節もスライドギミックを入れることで動きの幅が広がっています。また、甲冑キャラなので胸周りの可動は制限されがちなんですが、引き込み構造にすることで、胸部の甲冑が前後に動くので、前かがみのポーズが取りやすくなっています。「動かす」ことに重点を置きつつ、今までで一番カッコいい造形のデュークモンを作ることを目指しました。
DP:なるほど。このために完全新規造形…ゼロから作り直したんですね。
A:そうなんです。当時の「D-Arts」も造形はカッコいいので、上手く流用しつつ作れるかもと思っていたんですが、よく見ると胸周りなどアニメとデザインが違うんですよね。なのでいっそ作り直してしまおう、と(笑)。
DP:過去商品も手元に置いて、その良い点悪い点を、ちゃんと見極めて作られてるんですね。
A:「デジモン」のファンの方々は、長くついてきてくださっている方が多いので、過去の物を持っているユーザーは「どう違うの?」という点が気になっていると思ったんです。良いところと悪いところを洗い出し、「じゃあ今回はどうする?」と考えることを心がけています。それで言うと、今回は東映アニメーションさんとも一緒に、色にもこだわっています。今回は布マントを導入していますが、実はマントは裏と表で赤の色が違うんです。また、肩の赤の発色や、本体のパールグレーと赤メタリック、盾のシルバー、という感じで細かく色を変えています。全体で統一感を見せつつ、細かい色の差異で高級感や情報量をしっかり出せるようにしています。
DP:「SCSAディーアーク」は、カラーリングでのこだわりはありますでしょうか?
N:「ディーアーク」は、本体と、「カラビナ」と呼ばれる服に付けられる布製のベルト部分がついています。そのべルト部分と本体のリング部分を、なるべく色味を合わせようとしています。あとは、本体をアニメ本編や放送当時に発売した「ディーアーク」とイメージが変わらないようにしつつ、色の発色がよく出るように、シルバーの上からクリアのレッドを吹いてメタリックレッドに見せたり、工夫をしています。
DP:「SCSAディーアーク」で流れるボイスは、新規収録されたのでしょうか?
N:はい、レナモンを除いて新規収録を行いました。
A:すごい。
N:あとは収録されているサウンドエフェクトなども、リマスタリングしています。今回の「ディーアーク」のために改めてマスタリングした音声なので、そういった面でも気合が入っています。
あらゆる可能性を見据えた展開を
DP:ありがとうございます。それでは、お二人の今後の展望のようなところで、話せる事はありますか?
N:今回「SCSA」というブランドで「ディーアーク」を最初に形にしましたが、『デジモンアドベンチャー』『デジモンアドベンチャー02』『デジモンフロンティア』と、たくさん作品があるので、引き続き商品化を考えています。もちろんそれ以外のデジモン作品、これまで「CSA」シリーズとして出してきたものも、追々「SCSA」版という形で改めて商品化はしていきたいですね。
DP:特に『フロンティア』は、Nさんはやりたいのかなと、聞いてて思いました。
N:そうですね。私自身も『デジモンフロンティア』という作品が好きなのと、今年ちょうど20周年なので、皆様が欲しいと思っていただけるのであれば、ディースキャナも「SCSA」で商品化できたらなとは、思っております。
DP:ぜひ!
N:(笑)!頑張ります!
A:コレクターズ事業部としては、基本的に今後は「S.H.Figuarts」と「NXEDGE STYLE」の2ブランドをメインに続けてきたいと思っています。今回、「S.H.Figuarts」リスタートの4商品目として、「デュークモン」で初めて完全新規でチャレンジさせていただきました。以降も、単純なカラーバリエーションでなく新規造形のキャラクターを出していきたいです。ラインナップとしては、初代の『デジモンアドベンチャー』の完全体も、個人的には展開したいと考えています。「可動フィギュア」として欲しいかどうかというところを考えながら、ラインナップは検討していきたいです。あとコレクターズには「S.H.Monster Arts」というシリーズもあるので、そちらの可能性もあるかなと。
DP:そうか、「S.H.Monster Arts」っていう軸も。
A:「デジモン」は可能性がたくさんありますので、頑張っていきたいです。ちなみにNさんは、立体化してほしいデジモンはいますか?
N:もし『フロンティア』であれば、ヴリトラモンやアルダモンがすごい好きなので、造形を見られたら嬉しいです。もし商品化の余地があるなら、検討いただきたいです。
A:覚えておきます。メモしておきます(笑)
N:今後、事業部を超えたコラボ企画なども、『フロンティア』20周年のタイミングで一緒にできたらすごく嬉しいなと思います。
A:たしかに、そういうことも一緒にやっていきたいですね!
――ありがとうございました!