「デジモンプロデューサーへの道」第6回〈絵コンテ編〉
ピン留めしました
一覧の上部に表示されます
2023/10/15
皆さんこんにちは! 「デジモンパートナーズ」の運営や、新作映画『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』プロデューサーを務める下村です。「デジフェス2023」ではプロデューサーの第一歩を踏み出したご報告をさせていただきましたが、「最高の "デジモンプロデューサー"」になるにはまだまだ道半ば・・・、引き続きアニメ工程にまつわるさまざまなレポート発信を頑張ってまいります!

本日の記事は、第6回〈絵コンテ〉編!

▶第1回〈企画書〉編は[こちら]
▶第2回〈プロット〉編は[こちら]
▶第3回〈キャラクターデザイン〉編は[こちら]
▶第4回〈キャラクターデザイン-デジモン編-〉は[こちら]
▶第5回〈シナリオ〉編は[こちら]新作映画『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』、10月27日の公開までもうすぐですね! ストーリーやキャラクターについて徐々に情報が出はじめていますが、今回の記事では制作の視点から『ビギニング』の魅力にも迫りたいと思います。すでに完成披露試写会で観ていただいた方も、まもなくの公開を楽しみにしてくださってる方も、さらに楽しめるポイントが増えると嬉しいです。

さらに、田口監督が手がけたオープニング映像は10月27日の劇場公開に先行してお届けする予定なのでお楽しみに!!
▶ [COMING SOON]絵コンテは、カットごとに画・動作・セリフなどがまとめられている資料のこと。前回ご紹介した「シナリオ」が、ビジュアルをもって具体的に表現されていきます。「キャラクターの動き・表情」、「言動の間(ま)」、「画面の構図」、「カメラワーク」など…、シナリオという文章だけでは見えないいわば 「行間」まで可視化され、この工程で相当な情報量が加わります。まさにアニメーションとしての原型が姿を現す瞬間です。

ここで、新作映画『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』の絵コンテを3カットお見せします!こちらはデジ通信記事「キャラクター振り返り-ヒカリ編-」で先行紹介したカットを含む、オープニング映像のワンシーン。和田光司さんの「ターゲット~赤い衝撃~」サビに合わせて展開される画を想像してみてください♪≫ 絵コンテを解説!
★「S」「C」=カット(画のひとつの区切り)番号
★「PICTURE」=該当カットの画のイメージ
★「ACTION」=誰がどんな動きをするか、カメラワークなど
★「DIALOGUE」=セリフ
★「TIME」=該当カットの尺(秒数+コマ数)

絵コンテを誰が手がけるかは作品によって異なりますが、監督自身が描いたり、絵コンテ専任の演出家が描いたりすることが多いです。絵コンテの内容がその後の演出や作画、すべてのアニメ表現の地図となるため、シナリオと並ぶ「作品の要」ともいえます。 各カットの尺を検討したり、必要な「背景」を割り出したり、時には「コンテ撮(絵コンテを撮影し動画としてつないだもの)」が行われて映像の仕上がりイメージを確認したりと、絵コンテを作り上げる過程で作品の形がどんどん明確になっていくのです。 

それでは、今作と同じ田口智久監督が絵コンテを担当された映画『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』を見ながら絵コンテの一部を深堀りしつつ、さらには田口監督の演出の見どころを分析してみたいと思います!こちらは太一の部屋で、太一とアグモンがゲンナイさんと会話するシーン。カット番号345に「同ポ」と書き込まれていますが、これは「同じポジション」、すなわち同じ構図を繰り返し使用するという指示です。映像に余計な動きがないため会話の内容に集中しやすくなりますね。このシーンのように、田口監督は印象付けたいカットや会話などでよく使用しているようです。絵コンテの構図から、そのシーンの演出意図や、絵コンテを描く人の特徴を想像することができます。

このシーンで視聴者に見せたいものは何か、伝えたいことは何か。絵コンテで描かれた演出は、この後に続く工程でさらに細かな表現が加わり、どんどん豊かになっていきます。ここからは、実際に絵コンテで指示された演出がどのように具現化されていくかを追ってみましょう!関弘美プロデューサーに田口監督の演出らしいと思うカットを選んでもらいました。いずれも、屋外と屋内の対比が印象的なシーンです。こちらは、メノアの秘密に気づいた光子郎が彼女と会話する緊迫感あるシーン。分かりやすいように、先程紹介した「同ポジ」を活用したシーンを挙げていただきました。同じ構図を繰り返しながら、屋外で降る雨と屋内の静けさが明暗や逆光で表現されています。絵コンテの時点で凍りつくような静けさや緊張感を大切に演出されていますが、その後の工程で加わった「色彩表現」によってしっかり具現化されていますね! 続いてはプールサイドで、太一とアグモン、メノアが会話するシーン。こちらもシリアスなシーンが「同ポ」で展開され、屋外の雨が効果的に使われています。田口監督が絵コンテで大切にされている演出意図は、キャラクターの表情や動きはもちろん、色彩や明暗によってより鮮明に描かれているようですね。また、カット番号25にご注目ください。「窓ガラスの水滴のカゲが落ちて涙のよう」という演出がありますが、これに似た表現は『THE BEGINNING』でも見られるんです。屋外にしんしんと降る雪と、日が暮れて暗くなった屋内にいるルイ。過去に秘密を抱えた彼に雪の影が美しく映える様子は、ルイ役を務める緒方恵美さんも完成披露試写会の舞台挨拶で言及されていました。

今作『ビギニング』で表現されているはっきりとした明暗は、私は「02」チームとルイの対比のように感じています。ぜひ劇場の大スクリーンでご覧いただきたい演出です。 皆さんも、『ビギニング』はどのシーンでどんな演出が表現されているか、田口監督をはじめとする制作スタッフたちのメッセージを受け取りながら楽しんでみてくださいね! 〈今回のまとめ〉
▶絵コンテから、ビジュアル・演出面の制作が大きく動き出す!
▶多様な演出方法があり、描く人によって特徴も変わる!
▶絵コンテの演出は、後の工程でさらにパワーアップしていく!

次回のレポートもお楽しみに!
いいね ほしい びっくり ありがとう
DP会員からのリアクション
DP会員からのリアクション
  • 1
  • 0
  • 0
  • 0
「デジモンプロデューサーへの道...
あと1000文字
画像・動画を追加
【ご注意】投稿はご自身で撮影したものに限ります。人物キャラクターなど第三者の著作権、肖像権を侵害するおそれのある投稿、その他事務局が不適切と判断した投稿は非公開とさせていただく場合がございます。
3
今回は絵コンテ回!!!
絵コンテは本とか特典とかで見れる度に貴重で、ただただ、スゴイィィ~~~って感動してるだけだったんですが、今回、レポ読んで、用語の意味・そして田口監督らしさの出ている演出シーンとその意図が、とても細かく分かりやすく解説されてて、凄く勉強になりました!

改めてラスエボを今見返した所なのですが、解説シーン等、ここでは書ききれないほど
「おぉぉぉぉおぉぉおぉ!!!!!」って新発見の連続でしたo((>ω< ))o

もう欲を言うなら絵コンテと映像を全部1つ1つ見比べながら見たいです・・・って思っちゃってますww苦笑

そしてラスエボ上映当時から、水や雨が凄く印象的だったんですが改めて、c25のシーンにグッときたり、今回緒方さんが、田口監督の事を雪の魔術師と言っていましたが、下村さんも今回のレポで雪のお話していたので、公開されたら、改めて雪に注目してみようと思います!!(笑)

今回も、とても貴重なお話ありがとうございます!
次回はどんな工程のお話が聞けるのかも、とても楽しみにしていますo((>ω< ))o
Translate
いいね ほしい びっくり ありがとう
2023/10/15
いわば「指示書」のようだと感じました。
ひょっとするとコマに収まりきらないケースもあったりして?
Translate
いいね ほしい びっくり ありがとう
2023/10/15
ふむ
Translate
いいね ほしい びっくり ありがとう
2023/10/15
シェアする
facebook
X
LINE
投稿の報告
「デジモンパートナーズ」内において、利用規約に違反する疑いがある投稿を発見された場合は、こちらより該当する理由を選択の上報告ください。
該当する理由を選択してください。
キャンセル  
投稿の報告
通信に失敗しました。恐れ入りますがしばらくたってからやり直してください。
閉じる
ご協力ありがとうございました
※報告者情報、報告内容については個人情報保護方針にて保護され、公開されることはありません。
注意事項
ご連絡に事務局が個別にお答えすることはありません。
ご連絡いただいた内容は、利用規約に照らし合わせて確認を行います。
ご連絡をいただいても違反が認められない場合には、対応・処理を実施しない場合もあります。
閉じる
©本郷あきよし・東映アニメーション
©本郷あきよし・東映アニメーション ©東映・集英社・東映アニメーション
©本郷あきよし・東映アニメーション ©東映・東映アニメーション・集英社・フジテレビ・バンダイ
©本郷あきよし・東映アニメーション・デジモンCGプロジェクト
©2006 DSTM製作委員会
©2009「とびだす!3D東映アニメまつり」製作委員会
©本郷あきよし・東映アニメーション・テレビ朝日・電通
©本郷あきよし・アプモンプロジェクト・テレビ東京
©本郷あきよし・フジテレビ・東映アニメーション
©BANDAI
©Bandai Namco Entertainment Inc.