テイマーズを2001年から追いかけており、今回の朗読劇も会場で拝見しました。

個人的な意見は、本プロットが伝え方や伝える場所において「コンテンツとしてファンから愛されるデジモンテイマーズ」の価値を毀損していると感じました。また、この内容においては、日本国内外で温度差のあるもので、国外からのコメントが日本国内のファン層にファクトベースの、中身のある議論を生むとも思いません（少なくとも2021年時点では）。
ただ、コンテンツ発信者の言論の自由は保護されるべきだと考えます（小中氏のプロットを支持するものではありませんが）。
議論に上がっているプロットの問題点は再三指摘されているものの、
①政治思想を語る場所の不適切さ
②議論構成の不十分さ
③言語的障壁対応の不十分さ
の3点があろうかと思います。

①デジモンテイマーズは子供向けアニメとして世界的に受け入れられているコンテンツです。その内容がいかに社会的なメタファーを含んでいようとも、子供向けアニメとしてのマルチメディア展開を前提にしたファンが世界中にいることを無視することは、相応の批判に繋がります。本プロットは政治思想という、子供向けアニメには極めて不相応な内容を含んでおり、デジモンテイマーズの本来受け入れられている面白さとは異なる議論を呼んでいます。それが小中氏の2001年から持っていた思想的な表出だとしても、そういった文脈を解するファンはごく少数であると考えます。

②政治的な議論は、山木室長のセリフでその要諦を説明できるほど単純なものではありません。前提や、社会的な背景、対立する意見とのディスカッションなど、時間と場所を準備することによって、正当な議論が成り立つと考えます。その点、本プロットは氏の思想を断片的に見せただけに留まり、不要な議論を生むこととなりました。

③最後に、本プロットの内容は日本語であり、小中氏のブログも日本語表記であるにも関わらず、取り扱っているテーマの中心は西洋国のもの（氏は今後日本でも同様の議論が展開されると予想しているかもしれませんが）である点、言語的障壁が議論を難しくしています。

総じて、デジモンテイマーズが日本国内外でどう受け止められているコンテンツなのかという部分への配慮を欠くプロットであったかと思います。