「VITAL BRACELET BE デジヴァイス-VV-」発売記念インタビュー!〈アニメスタッフ編〉
2022/12/03
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11月26日に発売開始した「VITAL BRACELET BE デジヴァイス-VV-」。現在放送中のTVアニメ『デジモンゴーストゲーム』に先駆けて登場し、物語でも活躍をみせた新たなデジヴァイスの発売を記念して、関係者のスペシャルインタビューを前編・後編でお届けします♪


前編は「玩具」の魅力に迫りましたが、後編となる今回はアニメでの活躍についてシリーズディレクターの地岡公俊さんにお話を伺いました!


地岡公俊さん:『デジモンゴーストゲーム』シリーズディレクター

デジモンパートナーズスタッフ:デジモン好き30代

▶ 前編・開発担当ムレモンへのインタビューは [こちら] ! 


「ワープ進化」と「デジヴァイスの進化」

DPスタッフ:地岡監督、本日はよろしくお願いします! 早速ですが、まず「VITAL BRACELET BE デジヴァイス-VV-」が発売するというお話を聞いたのはいつ頃でしょうか?

地岡:たしか今年(2022年)の春頃だったと思います。具体的に『デジモンゴーストゲーム』との関わりの中でお話が上がっていたわけではないのですが、視聴者の皆さんに楽しんでもらうにはどうすれば……!? 課題は山積みでした。

DP:どのように物語を連動させようと考えたのでしょうか?

地岡:当時、回を重ねるごとに怪奇のバリエーションがシンプルなものから複雑なものまで幅が出始めていたので、しっかりホラーの描写に力を入れ、視聴者にわかりやすい物語を考えていく中で「ワープ進化」を取り入れたいと考えていました。

ならば、新型デジヴァイスの登場は「ワープ進化」へのきっかけ……! あとから「デジヴァイス-VV-」を入れ込んだわけではなく、「デジヴァイスの進化」と「怪奇」の両方が楽しめるお話になるようにと、51話「首ナシ」の展開を考えていったのです。また、お話づくりの過程で、「デジヴァイス」が進化するシークエンスを楽しく視聴者に印象付けるためには、起こっている怪奇が複雑だと視聴者がどう楽しむのかどっちつかずになるという懸念があります。そこで、怪奇自体はシンプルに、視聴者がイメージを想起しやすい「デュラハン(アイルランド地方に伝わる首のない騎士の姿をした妖精)」という言葉を使用しながら、北斗を絡めて「デジヴァイス」が進化していく、全体としてわかりやすい構造を心がけました。進化するにあたり、前の49話「真紅ノ収穫祭」 ではウィッチモン、50話「オカエシ」ではメイクラックモン:ビシャスモードに、宙とガンマモンたちが成熟期では事件解決に手こずる描写にしています。

(第49話「真紅ノ収穫祭」より)
(第50話「オカエシ」より)

ハロウィンの力でパワーアップした成熟期のウィッチモンに対し、カウスガンマモンが手こずり、挙句、宙を落としてしまう。メイクラックモンをなかなか見つけられず、テスラジェリーモンとウェズンガンマモンは疲弊していく。そこに今回ダークナイトモンという強い敵が現れることで、「このままでは危ない」という雰囲気を出せるよう注力しました。

DP:今回の「バイタルブレス」は、腕につけるという今までの作品の「デジヴァイス」とは違う形状になっています。演出するうえで難しい点はありましたでしょうか?

地岡:「デジモンアドベンチャー」などでは持ち方や付ける場所などで個性が出しやすいのですが、「バイタルブレス」は時計型なので、全員が基本左腕につけています。なので、進化シーンなど、ポーズやカメラワークなどでどう違いを出すかには苦労しました。

清司郎は設定上オタク気質が強いので非常に動かしやすいのですが、宙らしさ、瑠璃らしさをどうやって出すかは頭を悩ませました。また、「時計」という日常使いのアイテムでもあるので、時間が必要なときは見るような仕草をできるだけさせています。あとは袖との兼ね合いですね。実写だとあまり気にならないと思いますが、アニメーションだとどうしても「描く」必要があります。適宜服装に気を留め、「この袖の長さだったらバイタルブレスを見せよう」など、見ていて煩雑にならないように意識しています。

ガンマモンへのこだわり

DP:11月26日に発売された「VITAL BRACELET BE デジヴァイス-VV-」には、「BEMEMORYガンマモンDim」がセットとなり、ガンマモンが育成できるようになっています。今作でガンマモンは、無邪気なところがありつつ、経験を重ねて成長しているように感じますが、描く上で大切にしている部分を教えてください。

地岡:大切にしているといいますか、成長度合いの決め事、成長のベンチマークのようなものをあえて作らないようにしています。決めてしまうと、その回だけ妙に尖って蛇足感が出てしまうと考えているからです。むしろそのような視点は持たないようにしているのがこだわりです。

脚本家の皆さんは放映開始時からメンバーがほぼ同じなので、回を重ねていくと自然と描くキャラクターが成長していくんですよね。まったく同じものを書き続けることはなく、「こういうふうに行動するだろう」と考えが深まり、無理に成長を意識せずとも、ちょっとずつ成長が描けていくんですよ。それが毎週見ていて鼻につかない成長感に繋がっているはずです。

DP:キャラクターへの理解の深まりが、自然と成長を描くことに繋がるんですね。

地岡:そこに、登場回ごとにいろいろなキャラクターが絡むことで、リアクションや反応で前の話との差異が出てくるのだと思います。

DP:ガンマモンなどの主要デジモン以外で、印象深いデジモンのエピソードはありますか?

地岡:どの話数も怪異とデジモンが上手く馴染むように考えを巡らせて、必死にお話を作っているので、どのデジモンがというよりも、全てのデジモンが印象深いです。ある種、登場デジモン全てに愛情を注いでいます(笑)。強いて言うなら、どんな物語にすればいいのか、スタッフみんながまだ手探りで進んでいた序盤に、時間を奪ったり、人間をぐるぐるミイラにしたりして、怪奇・ホラーへの道を示してくれたクロックモンやマミーモンでしょうか。

DP:ちなみに…今までで、地岡さん自身が一番怖いなと思ったデジモンはいますでしょうか?

地岡:自分たちで怖くなるよう考えているので、自分で怖いと言うのも難しいですね(笑)。…この先のお話でももっと怖いデジモンが登場しますので、現時点ではまだ言えないです(笑)。

DP:貴重なお話、ありがとうございました!


 ▶ 前編・開発担当ムレモンへのインタビューは [こちら

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待ってました!!ありがとうございます。
1年ぶり?くらいの地岡監督のインタビューどの項目も読んでいて新発見の連続です!DPスタッフさんの鋭い質問にも大感謝です!

【デジヴァイスの進化】では、-VV-やワープ進化が登場することになった経緯や進化する回(51話)をどのような話の構成にしようとしていて、それに繋がる前2話分の展開を構成していった。という点を読んで、とても腑に落ちました!


【バイタルブレスを演出するうえで難しい点】についてはDPスタッフさんの鋭い質問に大感謝です!
質問の回答を読みながら、確かに腕につけているという点から「個性やカッコ良いポーズ」みたいなのが限定されそうと思いました。
でも初進化シーンで視聴者が「あぁ!!彼ららしい!!」って思えたのは
地岡監督たちが頭を悩ませながらも拘ったからだったんだって思えましたね!
どのキャラも大好きなんですが、「ジンバーアンゴラモンが瑠璃に手を差し伸べてた」のは凄く2人らしいし
グッと来た記憶が印象的です!清司郎のキメカットもなかなかにグッときます(笑)

他にも、進化シーンについては、各色から完全体へのバンクだったり、服装やその時の彼らの状況に応じて色が違っていたりする(29話)のも凄く面白くて、進化バンクについての拘りみたいなものも、更に詳しくいつかお話聞けたら嬉しいかな!って思ってます。

そして、意外な難しさという点で【袖との兼ね合い】の話は興味深いです!
実写だと動きによって勝手に時計が見え隠れしてくれますが、描くとなると
そういったことも意識されながら作品作るんだ!と勉強になりました。
煩雑にならないような自然な見せ方。
ある意味、言われるまで全然気づかなかったので、そういった視聴者が意識が向かないような細部まで考えながら作ってらっしゃるのは
本当にただただ、凄いの一言です!!!今後はバイタルブレスの事も注意しながら見てみたいかな!ってなりました。
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2022/12/04
【ガンマモンへの拘り】については、ホント彼らの成長が自然で凄く毎回好きでして~
成長について意識されて作ってるのかな?とか気になってたんですが、
逆に意識せずとのことで、それが毎週見ていてリアルな成長を感じられているのは
脚本家さん達のお力様様でもあるんですね(笑)
これ聞いて脚本家さん達の視点でのお話も聞いてみたくなってしまいました!

個人的に、ガンマモンもなんですが、特にジェリーモンの心の変化や成長も
グッときていて44話で初めて「ごめんなさい」がいえるようになったのは
凄く「わぁ!!!」ってなって。似たような22話では悪いと思いながら謝れずだったので。
それも逆に清司郎はジェリーモンにちゃんと怒れるようになっているのがお互いの成長を感じられるエピソードとして印象に残ってます。
こういった連続して徐々に成長していくゴスゲのストーリーが個人的には本当に好きで、今後彼らがどう成長して進化していくかも楽しみです!!
今後も怖いデジモン達が登場とのことで・・・ワクワク..ドキドキ...
今日のゴスゲも「まさか!?このデジ!!」がありとっても意表を突かれた楽しさでした!

貴重な記事ありがとうございます!!!(凄く、長文になってしまって申し訳ないです..焦)
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2022/12/04
こんにちは。
時々「キャラクターの成長が見られない」という評も目にしますが、全体の構造を考えるに際し、悪目立ちしないような自然な構成を作ることが如何に大変なのが窺えますね。そう考えると、物語を作ることのご苦労を思い知らされます。特に事件や事故に遭ったときの不測の事態を含めると。
デジモンゴーストゲーム、2年目もまだまだ応援しております、よろしくお願いいたします。
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2022/12/03
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