11月26日に発売開始した「VITAL BRACELET BE デジヴァイス-VV-」。現在放送中のTVアニメ『デジモンゴーストゲーム』に先駆けて登場し、物語でも活躍をみせた新たなデジヴァイスの発売を記念して、関係者のスペシャルインタビューを前編・後編でお届けします♪
前編は「玩具」の魅力に迫りましたが、後編となる今回はアニメでの活躍についてシリーズディレクターの地岡公俊さんにお話を伺いました!
地岡公俊さん:『デジモンゴーストゲーム』シリーズディレクター
デジモンパートナーズスタッフ:デジモン好き30代
▶ 前編・開発担当ムレモンへのインタビューは [こちら] !
DPスタッフ:地岡監督、本日はよろしくお願いします! 早速ですが、まず「VITAL BRACELET BE デジヴァイス-VV-」が発売するというお話を聞いたのはいつ頃でしょうか?
地岡:たしか今年(2022年)の春頃だったと思います。具体的に『デジモンゴーストゲーム』との関わりの中でお話が上がっていたわけではないのですが、視聴者の皆さんに楽しんでもらうにはどうすれば……!? 課題は山積みでした。
DP:どのように物語を連動させようと考えたのでしょうか?
地岡:当時、回を重ねるごとに怪奇のバリエーションがシンプルなものから複雑なものまで幅が出始めていたので、しっかりホラーの描写に力を入れ、視聴者にわかりやすい物語を考えていく中で「ワープ進化」を取り入れたいと考えていました。
ならば、新型デジヴァイスの登場は「ワープ進化」へのきっかけ……! あとから「デジヴァイス-VV-」を入れ込んだわけではなく、「デジヴァイスの進化」と「怪奇」の両方が楽しめるお話になるようにと、51話「首ナシ」の展開を考えていったのです。また、お話づくりの過程で、「デジヴァイス」が進化するシークエンスを楽しく視聴者に印象付けるためには、起こっている怪奇が複雑だと視聴者がどう楽しむのかどっちつかずになるという懸念があります。そこで、怪奇自体はシンプルに、視聴者がイメージを想起しやすい「デュラハン(アイルランド地方に伝わる首のない騎士の姿をした妖精)」という言葉を使用しながら、北斗を絡めて「デジヴァイス」が進化していく、全体としてわかりやすい構造を心がけました。進化するにあたり、前の49話「真紅ノ収穫祭」 ではウィッチモン、50話「オカエシ」ではメイクラックモン:ビシャスモードに、宙とガンマモンたちが成熟期では事件解決に手こずる描写にしています。
ハロウィンの力でパワーアップした成熟期のウィッチモンに対し、カウスガンマモンが手こずり、挙句、宙を落としてしまう。メイクラックモンをなかなか見つけられず、テスラジェリーモンとウェズンガンマモンは疲弊していく。そこに今回ダークナイトモンという強い敵が現れることで、「このままでは危ない」という雰囲気を出せるよう注力しました。
DP:今回の「バイタルブレス」は、腕につけるという今までの作品の「デジヴァイス」とは違う形状になっています。演出するうえで難しい点はありましたでしょうか?
地岡:「デジモンアドベンチャー」などでは持ち方や付ける場所などで個性が出しやすいのですが、「バイタルブレス」は時計型なので、全員が基本左腕につけています。なので、進化シーンなど、ポーズやカメラワークなどでどう違いを出すかには苦労しました。
清司郎は設定上オタク気質が強いので非常に動かしやすいのですが、宙らしさ、瑠璃らしさをどうやって出すかは頭を悩ませました。また、「時計」という日常使いのアイテムでもあるので、時間が必要なときは見るような仕草をできるだけさせています。あとは袖との兼ね合いですね。実写だとあまり気にならないと思いますが、アニメーションだとどうしても「描く」必要があります。適宜服装に気を留め、「この袖の長さだったらバイタルブレスを見せよう」など、見ていて煩雑にならないように意識しています。
DP:11月26日に発売された「VITAL BRACELET BE デジヴァイス-VV-」には、「BEMEMORYガンマモンDim」がセットとなり、ガンマモンが育成できるようになっています。今作でガンマモンは、無邪気なところがありつつ、経験を重ねて成長しているように感じますが、描く上で大切にしている部分を教えてください。
地岡:大切にしているといいますか、成長度合いの決め事、成長のベンチマークのようなものをあえて作らないようにしています。決めてしまうと、その回だけ妙に尖って蛇足感が出てしまうと考えているからです。むしろそのような視点は持たないようにしているのがこだわりです。
脚本家の皆さんは放映開始時からメンバーがほぼ同じなので、回を重ねていくと自然と描くキャラクターが成長していくんですよね。まったく同じものを書き続けることはなく、「こういうふうに行動するだろう」と考えが深まり、無理に成長を意識せずとも、ちょっとずつ成長が描けていくんですよ。それが毎週見ていて鼻につかない成長感に繋がっているはずです。
DP:キャラクターへの理解の深まりが、自然と成長を描くことに繋がるんですね。
地岡:そこに、登場回ごとにいろいろなキャラクターが絡むことで、リアクションや反応で前の話との差異が出てくるのだと思います。
DP:ガンマモンなどの主要デジモン以外で、印象深いデジモンのエピソードはありますか?
地岡:どの話数も怪異とデジモンが上手く馴染むように考えを巡らせて、必死にお話を作っているので、どのデジモンがというよりも、全てのデジモンが印象深いです。ある種、登場デジモン全てに愛情を注いでいます(笑)。強いて言うなら、どんな物語にすればいいのか、スタッフみんながまだ手探りで進んでいた序盤に、時間を奪ったり、人間をぐるぐるミイラにしたりして、怪奇・ホラーへの道を示してくれたクロックモンやマミーモンでしょうか。
DP:ちなみに…今までで、地岡さん自身が一番怖いなと思ったデジモンはいますでしょうか?
地岡:自分たちで怖くなるよう考えているので、自分で怖いと言うのも難しいですね(笑)。…この先のお話でももっと怖いデジモンが登場しますので、現時点ではまだ言えないです(笑)。
DP:貴重なお話、ありがとうございました!
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