8月10日(土)より、「デジモンウェブ」にてスタートする「デジモンコミック」。全4回にわたり、「デジモン」のマンガが全5作連載されます。そこで連載する4名の作家にインタビューを実施! 第1回は「鳳轡わが先生」と「聡田苺先生」のインタビューをお届け!
■『デジモンリコレクション』鳳轡わが先生
PROFILE:(おおくつわわが)、マンガ家。「デジモンブルーム-電子の花は散るか-」で、「デジモン漫画大賞」の準大賞を受賞。パートナーにしたいデジモン:「ララモン」。一番好きなデジモン:「ワームモン」。
▶「デジモン漫画大賞」受賞作は[こちら]をチェック!
――「デジモンコミック」での連載が決まったときのお気持ちを教えてください。
嬉しい気持ちがあった反面、自身がただの一般デジモンオタクであったので、「公式と関わらない方がいいのでは…?」と、「どうしよう!?」という戸惑いの思いがありました(笑)。
――「デジモン漫画大賞」へは、どのような想いで応募されたのでしょうか。
「アンチテーゼ」です。私は捻くれているオタクなので、受賞しなくても私の作品を公式に見てもらえればいい、「私の想いを聞いてほしい!」という気持ちで、投稿しました。なので、受賞時も「どうしよう」「まさか」と驚いてしまいました。アプリゲームの終了しかり、「別れ」も描かれた最近の映画などを見て、オタクとして悲しくなっていたので、「サービス終了」を題材にして公式にぶつけさせていただきました。
――「別れ」のテーマを、どのように描いていこうと考えたのでしょうか。
デジモンと人間という異種族間の友情が好きなので、一つの「愛」の形として、自分の抱いていた感情を描きました。また読み手に、この後どうなったのか一緒に考えてもらいたいという気持ちもあり、結末の内容を決めていきました。
――「デジモンコミック」での連載作「デジモンリコレクション」は、受賞作「デジモンブルーム-電子の花は散るか-」と繋がりがあると伺いました。
実は、今作は「デジモンブルーム」の1年後を描いています。受賞作が2023年で、連載作が2024年8月1日からの物語になっています。「デジモンブルーム」を読まなくても分かるように描いていますが、コアなファンの皆さんなら読んでくれているだろうと信じてこの時系列にしました(笑)。もしかしたら一部「デジモンブルーム」を読んでいないと分かりづらい箇所があるかもしれませんが、たくさんの玩具が登場すれば絵だけで見ても面白いかなと、思い切って描き込んでいます。皆さんの押入れにしまってありそうな玩具を散りばめつつ、今でも楽しんでいる人に向けて最近の玩具も描きながら、「懐かしいだけじゃない!デジモンは現役だ!」という気持ちを込めています。
――「デジモンリコレクション」の内容はどのように組み立てていったのでしょうか?
「デジモン」の玩具を描きたいと思ったのがスタートです。パートナー、友情、バトル、というのは他の作家さんたちが描いてくださると考え、「懐かしい」を逆手にとったようなメタ的な内容を、コアファンに向けて描きたかったんです。もちろん「デジモン」自体は描きたいので、玩具がデジモンに変化するドタバタ劇にすれば自分がやりたいことが全て盛り込めると思い、内容を固めていきました。そしてやっぱり愛が捻くれているので、そこにこっそりと、目立たたないように重いテーマを差し込みました。目立たないようにしたつもりだったのですが、暗いシーンが多いと編集さんに指摘をいただき、半分ぐらいに削りました(笑)。
――今作ではW主人公のように兄妹が出てくるそうですね。
今作は、令和の「デジモン」好き女子高生を主人公にしました。ですが「デジモン」好きの女子高生って令和に本当にいるのか!?と思ってしまい、この子だけだと物語が進まなくなってしまったので、私と同じ年代の兄を登場させました。兄がいたから「デジモン」が好きになった人も多いと思うので、共感しやすいかなとも感じたんです。兄が出てきたことで、物語が自然と動くようになりました。レトロアイテムの流行もありながら純粋に「デジモン」が大好きな女の子と、昔からのガチ勢だったけど今は引退中な「デジモン」が好きな兄。最後は大怪獣バトルで「デジモン」らしさを目指しました。今回は4話あるので、カードやフィギュア、プラモなどいろいろな玩具を出しつつ、物語の中で兄が「デジモン」とどう向き合うかを描きたいと考えています。
――一番思い入れのある玩具はどれでしょうか。
『デジモンセイバーズ』が一番好きなので、「デジヴァイスiC」です。「デジモン」といえば『デジモンアドベンチャー』の「アグモン」という風潮を感じているので、今作の主役を「アグモン(2006アニメ版) 」にして、『デジモンアドベンチャー』以外が好きなオタクたちと手を取りたいと思いました(笑)。
――『セイバーズ』の好きなところはどこですか?
今までの「デジモン」アニメでは、物語の最後にはデジモンたちとお別れするので、「そういうものだ」と思っていたんです。ですが『セイバーズ』では、最終回でマサルが「俺も行くぜ!」といってデジモンたちと旅立っていきました。「完」となった瞬間に、「それでいいんだ!」と、衝撃を受けて思わず泣いてしまったんです。この展開は、自分の作品作りにとても強い影響を与えました。
――他にも、「デジモン」が作品作りに影響を与えた部分はありますか?
「ドラゴンと人間」のように、モンスターと人間の友情物語ばかりを描くようになりました。あと「グーパン」です(笑)。少女誌で読み切り作品を描かせていただきましたが、その少女漫画でもグーパンで大木を折るシーンを描きました(笑)。
――鳳轡先生が感じる「デジモン」の魅力は何でしょうか。
やはり「デザイン」でしょうか。 他の類似作品と比べ、良い意味で統一感がなく、人間っぽいのもいれば、気持ち悪いものもいます。他にはないゴチャゴチャ感が、「デジモン」らしさで、私がとても好きな部分です。
■「デジモンナックルズ」聡田苺先生
PROFILE:(そうだいちご)、マンガ家。「二十年侍」で「デジモン漫画大賞」で佳作受賞。好きなデジモン、パートナーにしたいデジモン:「カオスドラモン」。幼少期一番遊んだアイテム:「ディーアーク アルティメットVERSION」。
▶「デジモン漫画大賞」受賞作は[こちら]をチェック!
――「デジモンコミック」で連載が決まったときの気持ちを教えてください。
すごく嬉しかったです! 自分はずっとマンガを描き続けてきて、連載が大きな目標でした。連載が決まったこと自体嬉しかったうえに、その内容がずっと大好きだった「デジモン」で、信じられないぐらい衝撃でした。
――「デジモン」を好きになったきっかけは何でしたか?
TVアニメ『デジモンテイマーズ』です。父もアニメが好きでしたので、共通の話題としていつも『テイマーズ』を上げていました。合わせて、液晶玩具も買ってもらって遊んでいました。この頃から繋がって今に至るので、ずっと「デジモン」を好きで良かったなと強く感じています。そして、今でも新しいグッズが出続けていて、「デジモン」が存在し続けてくれて本当にありがたいです。
――今日のインタビューでも「バイタルブレス」を付けて来られていますね。
「デジモン」は、「育成」の要素がすごく好きなんです。「バイタルブレス」は、自分で育てて一緒に歩きバトルをし、アニメを見て憧れていた「デジモン」との生活を叶えてもらっています。しっかり遊ばせていただきますし、今でも時計代わりにいつも腕に付けています。
――「デジモン」で一番好きなものは何ですか?
やはり「液晶玩具」ですね! 「自分だけのパートナー」を育てるという、他ではできない貴重な体験ができるのが素晴らしいです。子どもの頃に「デジタルモンスター」でもたくさん遊びましたが、大人になり「バイタルブレス」にはそれ以上の時間をかけて遊んでいます。毎回新しいDimカードがでるのを楽しみにしていて、本体も壊れるのが不安で2つ購入しました(笑)。
――「デジモン漫画大賞」受賞時のお気持ちはいかがでしたか?
「嘘でしょ!?」というのが第一印象です。マンガ大賞の話を聞いたときはすぐに応募を決意しましたが、やはり「デジモン」には"少年少女の冒険譚"というイメージがあり、今回の賞でも求められているのかなと考えていたんです。当初はそんなお話を描こうと考えていましたが、結果的に主人公は冴えない社会人で、舞台は現実世界になりました。この内容では、正直賞をとる自信がありませんでしたので、評価を頂けたときは非常に驚きました。
――「二十年侍」は、あえて、"少年の冒険譚"から外した内容にしたのかなと思いましたが、どのような想いでお話を組み立てていったのでしょうか?
自分が今まで青年誌に応募していたこともあり、その持ち味を活かそうと思ったのがスタートです。あと私が「デジモン」で好きな要素が、「デジモンとの生活感」なんです。なので、王道を外したほうが自分にとって描きやすいと思ったんです。
――ヤシャモンやクレニアムモンなど、「デジモン」が好きだからこそのチョイスだと感じました。大人の主人公と、このデジモンたちの組み合わせはどう考えられて決まったのでしょうか?
「二十年侍」の主人公と僕が同じ年代で、20年前にアニメやゲームをきっかけに「デジモン」が好きになった人たちはだいだい同世代だと思うんです。この世代を描くことで、「デジモン」へのあこがれを昇華したかったんです。また、コテモンやクレニアモンは今まで主役になる機会が少なかったため、僕にとって「自分だけのデジモン」という想い入れが強く、選出しました。進化ルートや敵として戦うデジモンなどは、同じく「デジモン」が好きな友だちと一緒に、デジモン図鑑を見ながら、楽しくこだわって決めていきました。
――「デジモン」との体験が、今の創作活動に影響を与えていることはありますか?
かなり、大きくあります。ずっと、人間と人間ではない何かとの友情関係を描きたいと、いろいろな形で取り組んできました。その根幹は、「デジモン」のアニメを見て、デジモンとの一対一の関係性に憧れていたからなんです。なので「デジモン」の影響はとても大きく受けています。
――今回の「デジモンコミック」の連載作「デジモンナックルズ」は、どのような想いで作られたのでしょうか。
今回の内容は、ガンクゥモンが主役になっています。アニメなどで深く切り込まれていなく、それでも「デジモン」の中で存在感のあるものから、いくつか主役の候補を出していました。 そのほうが、新しいプロジェクトで新しい物語を描く意味や、パートナーとの関係を描く際に特別な想い入れが強くなると感じたからです。その中でガンクゥモンは、拳で戦い、後釜に繋ぐ役割をしていて、それこそロイヤルナイツの中で「外れた」設定を持っています。そこがカッコいいなと思いつつ、まだ「師匠」という立場でしか描かれていないので、それ以外で注目を浴びる役割を作れたらと考え、ガンクゥモンをチョイスして話作りを始めました。
――今回の連載作で注目してもらいたい部分や、「こんな人に読んでもらいたい」などのお気持ちを教えてください。
ガンクゥモンの図鑑イラストなどを見ていると、けっこうニヒルな笑みを浮かべている印象で、いわゆる頑固親父とは少し違う雰囲気がありました。自分はその部分を強調し描くように意識しています。
今回のお話は、「二十年侍」と同様に人間とパートナーとの暮らしを、切り口を変えながら描きたいと思っています。なので、 人間とデジモンの「パートナー」という関係性に憧れを持っている人たちに、ぜひ注目してもらいたいです。
――貴重なお話ありがとうございました!
第2回目は「デジモンパラドクス」みなと歩先生、「ひらがなでじもん・ろいやるないつ物語」やぶのてんや先生のインタビューをお届けします。
「デジモンコミック」は8月10日(木)にデジモンウェブにて掲載予定! お楽しみに!
▶デジモンウェブは[こちら]